背部・頸部疾患を自己申告した患者をサンプリング
この研究では、1997〜2005年の米国医療支出パネル調査(MEPS:医療費の全国推計を示すための世帯調査)の結果を性・年齢補正した後、重回帰分析法を用いて解析を行った。回答者は17歳以上の成人で、MEPS、ICD-9で定義された「脊椎疾患」に該当する背部・頸部疾患を自己申告した者。
主要評価項目は、脊椎疾患関連で保健サービスの利用にかかったインフレ率調整後の医療費と、自己申告に基づく健康状態の年次調査の結果とした。
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全国推計は、1997年から2005年までの調査回答者で、脊椎疾患があると答えた者とそうでない者の年次サンプルをベースとした。1997年には合計23,045人の回答者がサンプリングされ、3,139例が脊椎疾患を申告。2005年は22,258人の回答者のうち、3,187例が脊椎疾患を申告した。
医療費は増加したが身体・精神面の改善はうかがえず
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1997年の、平均年齢・性補正後の脊椎疾患がある者の1人当たり医療費は4,695ドル(95%信頼区間:4,181〜5,209ドル)。一方、脊椎疾患のない者の医療費は2,731ドル(同2,557〜2,904ドル)だった。これが2005年には同条件で、脊椎疾患がある者の医療費は6,096ドル(同5,670〜6,522ドル)、疾患のない者の医療費は3,516ドル(同3,266〜3,765ドル)だった(1997年と2005年との比較に際しインフレ率で調整済)。
脊椎疾患を持つ回答者の推算総医療費は、1997年から2005年までの間にインフレ率調整後で65%上昇しており、全体の医療費より急速に増大していることが明らかになった。
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また背部・頸部に疾患のある者のうち、身体機能の制限を自己申告した者は、1997年の20.7%(95%信頼区間:19.9%〜21.4%)から、2005年には24.7%(同23.7%〜25.6%)に増えていた。
さらに脊椎疾患がある者の心の健康、身体機能、労働・修学制限、社会的制約に関する性・年齢調整後の申告に基づく障害度は、1997年より2005年で悪化していた。
これらから研究グループは、「背部・頸部疾患は、保健医療費のかなりの部分を占めることがわかった。また脊椎関連医療費は1997年から2005年にかけて増大したが、だからといって健康状態の改善に寄与したとの証拠は得られていない」と結論づけている。
(朝田哲明:医療ライター)
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