認知症
「認知症」とは、一度、発達した認知機能が、
何らかの後天的な脳の器質的原因によって持続的に障害され、
永続的に低下し、多彩な認知欠損の症状が見られる状態を指します。
これに対し、先天的に脳の器質的障害があり、
運動の障害や知能発達面での障害などが現れる状態は
「精神遅滞」と呼ばれます。
認知症は、正常な加齢とは明らかに異なります。
具体的な症状としては、記憶障害の他に、失語、失行、
失認、失見当などが見られます。
認知症の下位分類としては「アルツハイマー型認知症」
「血管性認知症」などがあります。
「アルツハイマー型認知症」は、原因不明の脳神経細胞の
萎縮によって生じ、全般的な認知機能の低下を示すのが特徴で、
最近はこれが最も多いタイプとされています。
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一方、「血管性認知症」は脳血管障害、多くの場合は
脳梗塞などの結果、やはり特定の認知機能が低下します。
しかし、アルツハイマー型と比べ、人格は比較的保たれるという点が特徴的です。
記憶障害
失語 失行 失認 失見当
アルツハイマー型認知症
血管性認知症
認知症の具体的症状である、「失語」「失行」「失認」「失見当」について、
どのようなものかここで確認しておきましょう。
まず、「失語」です。
高次脳機能障害の一種に「失語症」というものもありますが、
失語とは、大脳半球の言語野の損傷により、
一度は獲得した言語活動ができなくなった状態です。
言語理解が困難になるケース、言語表出が困難になるケース、
その双方に障害が生じるケースがあります。
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これは損傷部位によって症状が異なるためで、
それぞれ「感覚失語(ウェルニッケ失語)」
「運動失語(ブローカ失語)」と呼ばれます。
次に「失行」です。
運動障害や麻痺がなく手や足が動くのに、
まとまった動作や行為が出来ないことをいいます。
お茶をいれる手順が分からない、
ズボンに手を通してしまうといったことがこれにあたります。
「失認」は、空間、身体、顔、標識、遠近感など、
何かを認識することに障害が生じる状態です。
視力には問題がなく、見えているにもかかわらず、
視界の左側を完全に無視してしまう
「半側無視」などが失認の代表例として挙げられます。
「失見当」(失見当識ともいう)は、日時や場所、
方向感覚、人名などが分からなくなる状態です。
失見当の患者は、被暗示性が高まり、
作話をきたすことも多くあるとされています。
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認知症を完全に治癒するのは困難です。
薬物療法により、進行を遅らせたり症状をコントロールするとともに、
リハビリテーション、心理療法(中でも音楽療法や回想法など)が用いられます。
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